アルミ加工で人気の押し出し
加熱されたアルミ合金を金型に通し、押し出すことで作られる「アルミ押し出し材」。
1回の押し出し工程だけで、複雑な断面形状のアルミ形材を作ることができるので、さまざまな産業分野で活用されています。押し出し材と呼ばれる形材は、鉄や銅などその他の金属のものがあります。
しかし、それらの金属の中でもアルミは特に軽くて強い、そして錆びにくいという特徴があります。
アルミは鉄や銅などと比べると比較的最近使われるようになった金属ですが、古くからある鉄や銅などに比べて「加工しやすい」ため、急速に世の中に普及することとなったのです。
押し出しと金型
アルミ押し出し材の加工には、加熱されたアルミ合金を通す「金型」が重要な役割を果たします。押し出し材の加工に使われる金型は「ダイス」と呼ばれ、ソリッドダイとホローダイという2種類があります。
ソリッドダイは、金型の断面形状と同じ形材を押し出す際に使われます。中空部がない形状の押し出し材を作ることができます。
一方、ホローダイは、オス・メス二つのダイスを組み合わせ、一つの形材を作り出します。ソリッドダイと違って中空部があるより複雑な形状の押し出し材を作ることができます。
中空部が多く、さらに複雑な形の形材を作る際には、オスのダイスをさらに2分割し、オス×2、メス×1の形3枚のダイスを使って押し出し材が作られることもあるそうです。
ともあれ、ソリッドダイもホローダイも、押し出し加工の世界ではなくてはならない重要な存在です。ただし、良いダイスさえあれば、どんな金属でも押し出し加工ができるわけではありません。
特に、複雑な形状を作り出すホローダイの場合は、金属によって向き・不向きがあるようです。
アルミは、金属の中では加工しやすいことで知られていますが、ホローダイの場合は、アルミ合金の中でも粘着性や溶着性が高い合金を選ばないと、加工するのが難しいと言われています。
これは、アルミベレットが2枚(あるいはそれ以上)あるホローダイの金型を通過する際に、一度分断されたアルミが再溶着するためです。